音楽生理学によせて
音楽家の手、腕、そして体全体を楽器として、医学的そして音楽家としての視点で見る試みを続けています。
偽腱鞘炎はどうして起こるのか?どうやって痛みが生じるのか?どうして痛いのか?
多くの音楽家達がセラピーへ通い、また痛み止め、または舞台上での緊張を減らす薬を常用するのが現実の昨今の音楽界。
音楽家同士の競争も加速し、結果として昼夜を問わず、そして休憩も取らずに練習を続ける。
あるドイツの映画監督がとても興味深い実験をしました。
まず、練習中の音楽家をフィルムに収め、その後音声を抜き取って上映されました。画面に映る音楽家はもはや音楽家ではなく、工事現場で働く機械のようだったと言います。
音楽家が音楽家であるための条件とは何か?工事現場の機械と音楽家を隔てるものは何か?そんな小さな疑問符から音楽生理学を研究するようになりました。